10年ぶりに映画化された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の最新情報を追いかけるニュースサイト。
エヴァに関わったスタッフの作品、動向などもかいつまんで行ってます。
完結編「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の公開日は2017年以降を予定。





目撃者たちの証言 DOCUMENT of EVANGELION 1993⇔2003 月刊ニュータイプ03年3月号

今回は2003年にリニューアルDVDが発売された際に11人のメインスタッフに行われたインタビューを掲載。当時は新劇場版の制作は決まっていなかったので、各人それぞれ純粋な回顧録となっている。
監督以外のスタッフにインタビューされる事は多くないので、制作の裏側を知りたいコアなファンには貴重だ。
第一回は作画監督の鈴木俊二を、今後の更新予定は山口宏、加藤浩、磯光雄、黄瀬和哉、樋口真嗣、榎戸洋司、長谷川眞也、山下いくと、本田雄、平松禎史の順で掲載していく。


「新世紀エヴァンゲリオン」にかかわったスタッフたち。
彼らはいったい何を見て、何を感じてきたのだろうか。
それを探るべく、NTはアンケートを試みることにした。
丹念に書き込まれた回答や送られたメールの行間から、
今だからこそ語れる「エヴァ」への熱い思いが浮上する!

●作画監督 平松禎史

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
自分の居た部屋は作画とラッシュチェック用を兼ねていたのでラッシュチェックの度に停電。忙しい時は真っ暗なまま、仕事してた
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
10kgほどダイエット出来たこと。俗に言う「エヴァ痩せ」
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
放送終了後、業界の知り合いから質問攻めにあった
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
5、8、18、19、21話。音響面。
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
ケンスケ、ヒカリ。結局一度も(版権でも?)描いてない
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
うーん……よくわからない。実感もないしあまり意識したことはないです
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
仕事のやり方は変わってないけど、向かい方は変わったかも。やりたいことをやる、ということの怖さとか
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
(「エヴァ」を踏まえて)「新しい作品を!」ということなら観てみたい。自分に入るスキがあるなら参加もしてみたいと思います
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
大井川


●作画監督 本田雄

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
当時はカラオケにハマってました、作業中もよく歌ってた様な気がします
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
何回か旅行があった事かな
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
もー忘れちゃったナー
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
見直すとすれば全部かな
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
特にというのも無いので……、全部ということで
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
アニメブームかどうなのかはよく判らないけど、今のTVシリーズの多さを考えるとEVAの影響も多少残ってるのかな……
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
仕事的には、自分が参加した「千年女優」が昨年やっと公開されてほっとしてます。私的には、結婚したり引っ越したり子供が出来たり色々……年取ったなぁ……
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
またEVAをやるならやはり庵野EVAでしょう、楽しみにしたいです
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
シリーズ開始から、とっとと逃げたいと思いながら結局最後まで付き合いました。自分にとってはもう切っても切れない作品です


●メカニックデザイン 山下いくと

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
当時別の仕事とたびたび重なって、ガイナからの電話にたびたび居留守を使ったこと。同じガイナからの電話でも、現場でトッ捕まってる同じメカのきお誠児さんがごっそりかけてくる電話には出たり……人身御供ご苦労様でありました……合掌
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
当初はホビー化の計画すらなく、そんなに大きく展開するとは思ってなかった作品なので世間の反響にはこっちがビックリしました。この作品のおかげで「山下さんちの息子さんは会社勤めもしないでナニやってるのかしら」というご近所のオバさんがたの疑問がイッキに解決しました
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
所詮私には、一発でアイデアが出るような才はないので、生みの苦しみはどんな作品をやるときでもウンザリするほど味わいます。出来あがり寸前で、たった1箇所の右と左の点の間を繋ぐ線が思いつかずに最初から全部描きなおしたりすることもたびたびで、自分の凡人さ加減を呪わずにはおれません。でも不思議なモンで出来あがってしまえば、もうそれが辛かったことなど忘れてしまえます
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
実は見る機会が全然なかったという理由だけでマグマダイバーの回だけ未だに見ていなかったりします
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
良くも悪くも初号機
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
ブームはスゴイ作品が作るものと思われがちです。それはもちろん大事ですが一番肝心なのは、作品を世の中に出したいスタッフの気分と、そんな作品をちょうど受け取りたい視聴者の皆さんの気分とがピタッと重なるとえらい騒ぎになるものだということです。絶妙のタイミングで盛り上がったものだけに、後から見たらなんでみんなあんなに騒いだか解らない時が来るかもしれません。視聴者の皆さんが熱にうなされ、スタッフも熱にうなされました。集団でかかるあの奇病の熱のような渦中に居たということに関しては、視聴者の皆さんも私達スタッフも同じで、面白いし楽しい体験ですよね
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
愛猫のダスキンが行方不明になったこと。受信料払ってなかったBSアンテナが見つかって、払うようになったり(迷彩塗装しておけばよかった)
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
それを言うことが出来るのは庵野監督だけ、そして現段階でそれはありえないのではないかな
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
―――


●作画監督 長谷川眞也

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
ある日の午前中にガイナックスに出社して、スタジオの電気をつけたら寝袋で寝ているスタッフが床でいっぱいだった
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
初めて自分の描いた版権イラストが、雑誌の表紙になった
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
当時そうとうな貧乏で、懸賞で当てたディズニーランドのパスポートをその日のうちに金券ショップで換金した
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
1話、世界観がよく表れていると思う
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
アスカ(喜怒哀楽の豊かなキャラは楽しく描けるので)
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
湿地が埋め立てられて夜景のきれいな都市になったけど、時々ムツゴロウさんに会いたくなって、昔いたころのビデオとか観てしまうカンジ(わかりにくくてスミマセン)
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
道には登りだけでなくて、下りや平らな(だらだら)道もあることを知った
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
新しいエヴァは、みなさんの心の中にあります
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
長く人気の続く作品には、そうそうめぐり会えないし、つくり出すことが本当にむずかしいと思います。そんな作品に出会い、かかわることができて幸せです


●脚本 榎戸洋司

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
クオリティへの追求が作り手のスタンスを相転移させ、本来の作品ジャンルから変質してなお、より本質的テーマへと昇華していく過程の興味深さと恐ろしさ。あるいは、打ち合わせで訪れたタツノコプロの会議室にあった吉田竜夫氏の銅像の迫力
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
当時、ひばりヶ丘に住んでいたが、ガイナックスで打ち合わせるとき、晴れた日は自転車に乗って行った。軽やかにペダルをこぎつつエヴァや使徒のことを妄想してたのは美しい想い出であったような気がする。ふと武蔵野の細い道沿いにあった電気屋さんのシャッターがいまだに光速エスパーの意匠であったのがうれしかったりした
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
けれど打ち合わせが終わり、夜も更けて帰るとき、道に迷ったりしたなぁ(笑)。光速エスパーの電気屋さんも昨年閉店し、シャッターが黒く塗りつぶされていたのは悲しかった
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
今やってる仕事が一段落し、時間があれば、久しぶりに最初から見てみたいです
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
初登場の第8話をやらせてもらったせいか、アスカ・ラングレーと加持リョウジの二人はなんか好きなコンビでした。この二人、幸せになれるといいのになあ、とかなんとなく思ってた。あと、使徒のデザインはいつも楽しみにしてました
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
ちょうど、僕がアニメの脚本を書き始めたのが10年前なので、比較のしようがなく、よくわからないです
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
この10年なんぞは僕の感覚では一瞬のできごとのようです。当然、僕自身はほとんど変わっていないと思えます。ただ、フリクリで再度ガイナさんと仕事してみて、やはり楽しいながらも体力のいる世界であると再認識させられました(笑)
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
とりあえず一ファンとして楽しみにします
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
僕が参加する最初で最後のロボットアニメ……と当時は思ってたのにな(笑)


●脚本 樋口真嗣

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
テレビシリーズに関しては、個人作業に没頭していたので周囲の出来事を殆ど覚えていません。それだけ集中していたのかもしれませんが、もしかしたらただ単に物忘れが激しくなったのかもしれません。当時の予定表を見るとガメラの1本目の完成直後から第8話の作業に入っていたようです。そんな事は俺でなくても調べりゃわかることですね。17、18話の脚本の途中からガメラ2の準備が始まり、エヴァのテレビシリーズからは離れてしまったのですが、そのガメラ2の準備中のことです。敵怪獣の隠し武器で「ニクロム線のように赤熱した触手がムチのようにしなり駆け抜けるとすべてがズタズタに切断される」シチュエーションのコンテの打ち合わせをしてそろそろ夕食、じゃあテレビをつけて、とそこに流れたのは第3話。スタッフからは怒号にも似た批判が沸き起こり押し寄せるのですが第3話のコンテ、俺がガイナに行ってた時点ではまだAパートしか上がってなかったんだよと弁解したところで「8話9話のコンテやっておきながらよくもそんなウソを!」と現場の事情の推理するぐらいの事はできる一同を納得させる事は出来ませんでした。ホントなのに。で、ガメラ2が終わってから幻の「押井映画」に入ってなかなか進まないので劇場版のコンテを手伝ったり予告を作ったり(これまた幻の)実写パートを作ったりしてました。以上終わり
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
第1話のアフレコ終了後の『反省会』会場を見回した時の、その華やかな女子率の高さに監督がかねがね酔っては語っていた『男のロマン』の達成を感じました。ちなみに末席でおとなしくお酒だけをひたすら呷っていた私はそれほど嬉しくなかったのでこの質問に対する回答としてはちょっと的外れでした。申し訳ない。これで終わったら申し訳ないので、劇場版で監督デビュウとなった摩砂雪先輩が初号試写が行われた現像所の階段を「画と音がひとコマずれている」と呟きながら血走ったイッパイイッパイの目を見開いて一段抜かしで映写室へ駆け上がっているのを見て、あれが後世長く語り継がれる「番町皿屋敷伝説」の開幕だったとは知る由もなく「ようこそ深い業の世界へ」とほくそえんだエピソードを加えておきましょう
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
辛い思いをした瞬間からマッハ忘却回路が働くので何も覚えていません。もしかしたら苦労してないのかもしれませんがせめて苦労してないと俺の無責任なコンテや脚本で苦労をかけたスタッフのみなさんにぶっ殺されるので苦労していた、はずです。あ。ひとつだけ覚えてた。アフレコの現場で主人公の名前が滑舌のいい役者さんたちの声で呼ばれ、それどころかバカという接頭語までついてあの通る声で幾度となく罵られたのは苦痛でしたが今となってはいい思い出です。あとそれまで小出しにしていた市川崑スタイルのタイポグラフィーが、世の中的に大量消費されて二度と使えなくなってしまった事でしょうか
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
最近観てないので通しで観るいいキッカケかもしれません
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
リツコのかあちゃんでできているコンピュータ。表層的な意匠だけで囚われずに細かいところまで注意が行き届いているな、と思いました。自分がエヴァを客観的に好きになれたキッカケはこのエピソードです。キャラクターはカヲル君でしょう。彼がいるといないではいろいろな結果が倍は変わっていたはずです。それまでのエピソード含めて影響を与えた、凄い存在感のキャラクターだと思います。人類史上一回きりしか使えないでしょう
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
思えば一年の半分は特撮仕事、半分はアニメ、とコウモリのように行ったり来たり俺の中の二毛作体制はこの時期――自分にとってはエヴァでありガメラ――を境に崩壊しました。よってその後のアニメブームに対する実感があまりないので客観的印象なんですが、アニメを深夜にやるようになったのはこの頃から?だとしたら、いろんな意味で免罪符だったり延命措置だったり執行猶予だったり、というカテゴリーが生まれるキッカケになったのでしょうなあ。今だったら絶対に火曜午後六時半にやんないだろうし
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
10年?マジかよオイ。いまだにその頃作ったものが名刺代わりであり剥がしたり上書きしようにも出来ないレッテルであることは逆に考えるとこの10年一体何してるんだ俺アンド俺ら。いやマジで
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
あまり答えやすい質問ではありませんが、作る側のボルテージも作らせる側のボルテージも見る側のボルテージも10年前より後退した事を証明する事になりはしまいか?この10年何も生まれなかったのだから、連綿と綴られてきた歴史の轍を走りやがれということなんでしょうか。俺個人はもう少し抵抗したいものです。ただし、ヌルいパチモノ観たりすると、違うッ!やるんだったらこうするんだよ!という衝動に駆られる事が一度や二度ではなかったことも併せて告白させていただきますが
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
明日の夕方から監督とメニュー画面打ち合わせなんで、何かネタ出ししなきゃいけないのにまったくもって手付かず状態です。10年経ったのなら、いいのかな? 俺はまだ恥ずかしいよう


●作画監督 黄瀬和哉

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
参加する前に企画書を見て面白そうだなと思ったこと
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
漫画原作を発表前に読めたこと
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
全てに未熟だったかな……
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
特に無いです
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
リツコ
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
疑問符
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
年をとった
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
わからない
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
回答不能


●脚本 磯光雄

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
庵野監督の人柄
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
アクションレコーダーソフトをCで自作したこと。この作品ではじめて実用しました
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
1話の原画の時ちょうど攻殻の設定作業と時期が重なり、ほとんど寝る時間がとれなくて困りました
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
特にありません……
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
特にありません……
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
中と外ではだいぶ違って見えるものだなと再認識しました
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
根底的な部分は変わりません
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
新作を楽しみにしたいと思います
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
'90年代の作品のひとつ


●美術監督 加藤浩

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
途中で結婚しました
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
箱根取材
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
目のまわる忙しさというものを初めて体験した。途中で何話をやっているか、わからなくなっていた
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
最近気付いたが、完成品としてはまだ見てない話数があるらしい
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
カスパーとぺんぺん
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
ありがたい事でございます
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
光陰矢のごとし、子供が小学校へ上がる。良い歳を重ねられているだろうか……
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
マジっすか?
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
最後のアナログ背景作品


●脚本 山口宏

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
脚本打ち合わせが、始まったが最後、5~6時間はタップリかかる上、果てしなく直しがあり「脚本裁判」と呼ばれていたこと
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
完成したフィルムの感動的なまでのクオリティの高さと、回を重ねるにつれて、人気が出てきたこと
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
一応、叩き台を書いた25話が、スタッフの努力にもかかわらず、結果的にああなったこと。そして、一番ツライはずのANNOさんがネット上で叩かれていたこと
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
久しく見ていなかったので、「全話」改めて通してみたいですね
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
脚本を書く上では「お気に入り」というのは考えません。強いて言えば碇ゲンドウでしょうか
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
本当に「ブーム」なんでしょうか? 単に数が多いだけでしょう
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
絵コンテ、演出、監督をやってみて、改めて「エヴァ」のすごさを痛感しました
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
ANNOさんからお声がかかれば……(かかんないだろうけど) とりあえず鶴巻さんの新作が見たいです
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
勉強させてもらいました。当時の制作スタッフの皆さんに深く感謝します


●作画監督 鈴木俊二

1.「エヴァ」に参加していたころ、いちばん印象に残っていることは何ですか?
阪神大震災、オウム地下鉄サリン事件。世紀末だなという気分になった。インターネット等で観客の反応が生で帰ってくるのが新鮮でした(いまではあたりまえですが)
2.「エヴァ」に参加していたころ、いちばんうれしかったことは何ですか?
1,2話(同時進行)が完成したこと。試写で鳥肌がたった。個人的にはApple Computerにスティーヴ・ジョブスが帰ってきたこと
3.逆にいちばんつらかったことは何ですか?
制作会社からのプレッシャーです。ある程度は監督が擁護してくれていたかもしれませんが
4.今回リニューアル版が出るにあたって、見直してみたいエピソードはありますか?
1~19話までの毎週放送の昂揚感はリアルタイムで見ていた人にしか共感できないのではないか? まとめて見るのとはまたちょっと違うと思います
5.いちばんお気に入りのキャラ/メカは何でしたか?
葛城ミサト、洞木ヒカリ、赤木リツコ/H&k USP(ミサトの拳銃)
6.「エヴァ」の企画スタートから10年ですが、「エヴァ」からスタートしたともいえる現在までの“アニメブーム”について、実際にその渦の中にいて、そんな状況をどう思われましたか?
ジブリ作品が一般に認知された以外はスポンサーの都合と媒体が多様化しているだけでブームとは思えませんが。そのうち人気の反動がくるのではないでしょうか? 産業として担い手が高齢化(笑)しているのが非常に心配。国内で若手の育成が行われておらず、(中割り→動画→原画→スペシャリスト)の流れがピラミッド型になっていないのは将来心配です。海外発注のシステムも労働力単価の問題ではなく為替(円高)の恩恵で、今後くるインフレと円安によっては制作費圧迫要因になるでしょうね
7.そしてこの10年、ご自身もいろいろなお仕事に携わってきたと思いますが、当時と現在とではどう変わられたと思いますか?
体力と視力と集中力は確実に弱まっています……。当時と同じことをやれと言われても、もうできないと思います
8.今回のリニューアルを終えた後で、もしファンの方々から、さらなる「新しいエヴァを!」という声が上がったら、あなたの場合はいかがですか?
庵野秀明があの時期、あの気分で作ったからエヴァなのでしょう
9.あなたにとって「エヴァ」とは??
バチカンの衛兵もエヴァを知っていた。「レジェンド」とカナダ人の友人に言ってもらえた。誰に言ってもわかる「代表作」ができたと思う


長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

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2008/11/15 20:04 (Sat)
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ココでしか見られない「衝撃」 月刊ニュータイプ03年3月号

リニューアルDVDが発売される直前にリリースされた、「TEST-TYPE」と5.1chリニューアルDVDのレビュー。
摩砂雪氏へのインタビューはアマチュアで動画を編集している人には興味深くとれるアドバイスが見られる。
また、鷺巣氏や林原女史へのインタビューもあるので、未見のエヴァオタの方にはご一読頂きたい。


編集の妙で魅せる摩砂雪の手腕が光る感動の新OP映像!

6月にリリースされるリニューアル版に先駆けて3月に登場するのが、第壱話を収録した「TEST-TYPE」。このDVDのみに収録されているのが、新たに編集してつくられたOPと新作ED映像である。

OPは、「新世紀エヴァンゲリオン」という作品全体の総集編とでもいうべき編集映像だ。ほんの4分ほどのOPテーマ曲の中に、TVシリーズから劇場版へと連なる歳月を凝縮した、非常に密度の濃い映像が展開していく。TVシリーズ副監督にして、劇場版「DEATH編」の監督・摩砂雪の手腕が光る作品である。

「さすがにもとのOP自体完成し尽くされているのでオール新作というのは勝負権がないと思い、総集編的内容ならやってもいいかなと考えていたんですが、去年の12月も下旬になって、急にやってくれという注文が来たんです。それから作業を始めて、最初のバージョンを10日間くらいでつくり上げました」

歌詞カードを見ながらそれに合った場面を選び出して細かくつないでいく。カットをはめ込んでは入れ替えるといった作業が根気よく繰り返され、現在もなお日々新たにつくり込まれたバージョンが生まれている。

「TVや劇場をそのままつないでいるのではなく、デジタル編集ならではのエフェクトは多々使っています。『新OP』と周りからは言われておりますが、自分のモチベーションとしてはエヴァのOP曲に合わせた『エヴァンゲリオン』のPVをつくっている感じですかね(笑)」

編集版とあなどるなかれ。そこには君の想像をはるかに超えた驚愕の映像スペクタルが展開しているはず。刮目に値する一編だ。


・新編集OPENING
動いている映像をお見せできないのがもどかしいほどのハイ・クオリティな編集版。TVシリーズ本編のOPもカット割が印象的だったが、これはさらに繊細かつ大胆にカットをつなぎ、「エヴァ」の全体像を表現していく。リズムに合わせて映像を気持ちよく見せていくコツは、絵を音よりも数コマ早く変えていくことだとか。

・新作ENDING
EDテーマ「FLY ME TO THE MOON」にはいくつものバージョンがあるが、今回は庵野監督のアイデアで、限定版CD「ADDITION」に収録されているレイ・アスカ・ミサトの3人の意味ありげなモノローグ入りのものを使用。なぜこのバージョンなのか、そしてどんな映像なのか、詳細は明らかにされていないが、早くこの目で確かめたい。


・音楽 鷺巣詩郎

「ふしぎの海のナディア」以来、「エヴァ」「彼氏彼女の事情」と、庵野秀明監督作品を数多く手がけてきた作曲家、鷺巣詩郎。現在ロンドン在住の鷺巣は、音楽の5.1ch化の総監督的立場でリニューアル版制作に関与している。音楽のプロとしての立場から、5.1ch版制作の意義やその魅力について語ってもらった。

「すでにステレオで完成している作品を、5.1chにリニューアルするというのは画期的なことです。極端にいえば、作業工程をゼロからやり直すほどのリスクがあるわけで、それが可能になったのも、当時のスタッフがそろっていて、チャレンジしようという心意気があったからでしょう」

「エヴァ」が放送された'95年からわずか7年の間に、レコーディングはアナログからデジタルへと劇的に進歩している。技術的な変化と変わらないスタッフ陣という2つの要素が、不可能に近いリニューアル作業を可能にしたといえよう。

「当時の作業の詳細や庵野さんのリクエストをスタッフが鮮明に覚えていたんです。本来庵野さんがやりたかったことを、新しい技術によって実現させていくというのが、今回のスタッフのテーマでもありました。オリジナル版は、成熟したステレオ時代の集大成。それを素材として、5.1chの『エヴァ』ができたわけですから、20世紀と21世紀のいちばんいいものが合わさったものが今回のリニューアル版ということなんです」

しかし、自宅に5.1ch環境をもたない人も多いはず。それでも今回のリニューアル版は楽しめるのだろうか。

「それは保証します。5.1chにミックスされた音がステレオで出てくるわけですから、新たな音もすべて聞こえるはずです」


・CV 林原めぐみ

リニューアル版制作にあたって行われた追加アフレコでは、原則としてオリジナル版のCVは参加していない。だが、ひとりだけ例外がいる。作品中、最大級の人気を獲得したヒロイン・綾波レイ役の林原めぐみである。だが彼女が演じていたのはレイだけではない。ネルフの中枢ともいえるコンピュータ、MAGIや名もないオペレーター、さらにはエヴァの咆哮まで、さまざまな声で作品を彩っていたのだ。今回はMAGIの声を捕捉するためにスタジオを訪れた林原。久しぶりの「エヴァ」に参加した感想を聞いてみた。

「社会現象とまでいわれた『エヴァ』。私の中ではすっかり溶けて、それでいてどっしりとした思い出になっている作品です。今回は残念ながら(?)レイちゃんではなく、MAGIであり、女性通信員であり、後ろの後ろで聞こえている声の焼き直しです。『2~3言です』と言われ向かったスタジオで手渡された原稿には30言近くのセリフが。庵野監督は以前と変わらず(いや少し穏やかだったかな?)、『せっかくだから』と……。2~3言で呼ばれるほうがかっこいいと思うんだけどなあ。久しぶりに『セントラルドグマ』とかいう単語を口にしてちょっと興奮しました」

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2008/11/04 22:35 (Tue)
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貞本義行 もうひとつの物語の行方 月刊ニュータイプ97年12月号

意外と珍しい、「貞本エヴァ」を語るインタビュー。
当時はコミックスが4巻まで、ビデオは10巻(20話)までしか出ていなかった。
テレビ版との違いを確認しながら、コミックスを読み返してみるのも面白い。


――今回の劇場版をもって、アニメの「新世紀エヴァンゲリオン」が終了し、今後ますます「エヴァ」ファンの関心が貞本さんの漫画に集中すると思うんですが、いかがですか。

貞本 アニメのほうは“答え”を出すストーリーづくりをしてないですよね。種をまいて、そこから先は自分で考えてください、というつくり方で。漫画はもう少し違ってくると思います。僕は明確な主張があるほうが好みなので、たとえ稚拙になっても、そういう方向で描けたらなと思ってます。実は結構、「ドラえもん」とか「アンパンマン」みたいな作品が好きで、ものすごく単純なものの中に、泣けるような感動を覚えたりするんですよ。でも結局、「エヴァ」は難しい内容だから、それでもわかりにくくなっちゃうんですけどね(笑)。

――貞本さんの「エヴァ」は、どこか正統派“少年漫画”のような感じがしますね。漫画などでお好きな作品はありますか?

貞本 楳図かずおの「漂流教室」やアニメの「ガンバの冒険」、松本零士の「銀河鉄道999」、少年漫画といえばこれが好きです。この3つに共通してるのは、主人公が自分の居場所を求めて旅をするところで、彼等は物事が終わっても、もとの場所に帰っていかないで、また次なる冒険に、自分の居場所を求めて出ていくんですよ。それがかっこよくて。
 シンジの場合、居場所を求めるというのは、いまいる人たちとどうやっていっしょに生きていくかということなんですが、漫画にもシンジの冒険譚ぽいエピソードが入らないかなと思っています。いまは主人公がひとつの場所に居座っちゃってるから。

――“少年漫画”を指向しつつも、主人公は単純明快なヒーロー像とはならず複雑な心理を抱えていますね。

貞本 「エヴァ」は、主人公のシンジから見た世界を中心に描いているわけですが、結局シンジという人間は、いまの僕や、14歳のころの僕ならどう考えるかと思ってつくってるので、どうしても生っぽさが出るんです。

――貞本さんご自身は、どんな少年だったんですか。

貞本 結構お調子者だったと思います。だけど目立つのがキライという。登場人物でいうとケンスケあたりに近いのかもしれない。そんなものわかりのいい優等生タイプではなくて、よくクールだと言われてました。あきらめが早いようで実はしつこかったり。いわゆる不良ではなかったけど、結構悪いこともやって、反省したり。そういうところは漫画のシンジに通じるかもしれないですね。

漫画における登場人物の役割

――漫画版では、物語の設定や人物の性格などにアニメと違ったオリジナルの部分が加えられていますね。

貞本 実は、人とのコミュニケーションの話を始めたのは漫画のほうが先だったんですよ。本編は使徒との戦いがメーンになるだろうと思っていたら、庵野さんもコミュニケーションのほうにいった。だから最近は路線変更をしようとおもってるんです。同じことをやってもしょうがないし。コミュニケーションがうまくいかないというアニメ版の大きなテーマから、あえてそれてみようかなと。登場人物の性格も、だんだんとアニメとは違ってきたかもしれないですね。

――漫画にも、先日発売された第4巻でアスカが登場しましたが、アスカについてはどんな女の子にしようとお考えですか。

貞本 アスカは性格的に、いい子ぶっていたり、二面性があるところなんかはアニメにも通じるんですが、シンジにとってアスカが“異性”として、ある程度尊敬できる、あこがれを感じるような存在にできたらなと思っています。時には友達、時にはライバル、でも時には異性、と。
 アスカとシンジが使徒を倒すためにユニゾンを組む話では、アニメであったキスシーンをあえてやらなかったんですよ。男から見たら初めてのキスというのは魅力的な事件ではある。でもキスってなんだろうと考えちゃうと、好きな子と肉体的に結ばれる最初の事件じゃないですか。それよりも精神的つながりが先のほうが、僕にはリアリティーがあるかなと。それに男と女の精神的なつながりも、14歳だと大人よりピュアに描ける気がして。漫画で描いた、2人が音楽に合わせて踊る場面が、僕にとってはキスみたいなものですね。

――漫画ではアスカの出生が試験管ベビーということになっていますね。

貞本 アスカには、結構辛いゆがんだ部分があって、それを強く出そうと思ったんです。アスカは異性同士で愛し合って生まれた子ではない、という。アスカの母は男に愛されなかった。彼女もそれを引きずって、男なんていなくても生きていけると思っている。でも心のどこかで父や男性的なものを求めていて、加持に甘えたり、シンジに対しても、拒否してる部分と、自分を抑えきれない感情があって、だんだんシンジを好きになっていく。そんなふうに描けたらいいと思ってます。

――レイについてはいかがですか。

貞本 シンジにとって、アスカがあこがれの異性の象徴だとすると、レイは“母性”だと思っています。シンジの母親の遺伝子をもっているみたいだし。僕自身が、アスカとレイどっちが好きかと言うと、たぶんレイで、どこか母性的なものをもっていて、シンジがくじけそうになったら優しく“けなして”くれるわけです。レイはシンジに「また、逃げるの」って、結構、トドメを指すようなきついことを言うんですが、友達が言ったら絶好になってしまうようなことばなのに、なぜかそうならない。それは母親は絶対に子供を見放さないからなんです。シンジにとって、レイはそんな存在なのかなと。

これからのシンジを描くためにすること

――連載を重ね、最近のシンジは自分の意志を表に出したりと、成長をしているように見えます。これから先、彼はどのように変わっていきますか。

貞本 成長っていっても、人は本質的なところはそんなに変われるわけじゃない。一見大人になったように見えても、それは違うかなと。だからこれまで、友達ができたり、気になる異性が出てきたりと、ポジティブで大人になったように見える彼を一回、ぶちのめさなきゃと……。
 いままでは、シンジがひねくれていた理由も、親父が、叔父さんが、と周りのせいにできたわけだけど、大人になってくると、それでは済まされなくなってくるんです。自分が言ったことややったことで、人が傷ついたりするとか……。だからこれからのシンジには、いままでのように殻にこもって黙っていればやりすごせるというものではない、もっと悲惨なことが出てくるかもしれない。

――まだ先ですがラストはどうなりますか。アニメのようにシンジとアスカのつながりを描くのでしょうか。

貞本 そこが難しい。どうなるかまだわかりません。ハッピーエンドにしたいとは思ってます。でも何がハッピーかというと、劇場版だって、あれはあれでハッピーだし。人間は、生まれたときと死の瞬間は何もないわけで、生きる過程が楽しくないと生きられない。シンジもつらいけど生きていたいと思った。だからハッピーなんですよ。
 それでも一方で、少年漫画として、もっとわかりやすいハッピーエンドはないかな、とも思いますね。

――今後ストーリーを描くうえで、どんなことが鍵になるのでしょうか。

貞本 結局それは、僕の生き方そのものに行き着いちゃうと思うんです。シンジが生きていこうと思う過程を描くためには、僕自身が「僕の人生よかったな」と言えなくちゃいけない。まだ僕はそんなことを振り返れるほど生きてはいないんだけど、僕の人生よかったなと思えるように思考錯誤していって、その結果シンジに「あ、こういうふうに考えていけばいいんだ」って言わせられればと思います。


さまざまな話が飛び出た今回のインタビュー、君はどんな感想をもっただろうか。漫画はさらに盛り上がるので、これからもお楽しみに!!

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2008/07/07 05:34 (Mon)
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緒方恵美、鶴巻和哉 少年の道程 月刊ニュータイプ97年11月号

「THE END OF EVANGELION」後の緒方・鶴巻両氏へのインタビュー。
衝撃的なラストシーンでのシンジの心情、鶴巻副監督のコンプレックスなどが垣間見る事ができる。


14歳の証言・その1
◆緒方恵美

 シンジは「エヴァ」の物語の中ですごく成長したと思います。劇場版で彼は、「エヴァに乗りたくない」と言いますが、それは物語の最初のころの“子供のわがまま”の逃げではなく、いろいろ越えて経験してからの拒否で、言ってしまえば“大人の迷い”なんですよね。現実の世界で辛酸をなめた後の大人が、更に何かにぶつかったときの挫折のように、シンジだって大切な人たちを傷つけてしまったから拒否するわけで……。でも、彼は絶望感の果てにもう一度、人とかかわろうとした。それが彼の成長だったと思います。

 今回の劇場版は、TV版に比べると“不親切”だったかもしれません。病室のシーンもベークライトのシーンも、もう少し彼の心理を説明する別のシーンがあればわかりやすかったかもしれませんね。でもそれをやらないのが庵野監督らしいなと思いました。監督は、自分を厳しく追いつめるタイプで、劇場版のシンジのセリフもそれを反映してか、本当はもっと内向きな感じだったんです。ただいくつかのセリフがどうしても胸に落ちてこなくて。ですから監督とご相談して、少しだけ能動的に変える作業をしました。

 いつもは監督との最大公約数の中でシンジを演っているのですが、劇場版のラストシーンだけは監督に特別な演技指導をいただきました。具体的に言うと「初めて自分を自分で抱きしめてあげられた瞬間の“泣き”がほしい」のだと。TV版26話の「僕はここにいてもいいんだ」と同じ意味の“泣き”なんですね。パン!て殻が割れるように自分が変わった瞬間の、声にならない、涙も鼻水も涎も流れるままの……。そんな演技が出来る場をもらえたのが、役者として、本当に幸せだったなあと思います。

 結局、周りの人がどうなったのかはみなさんのご想像にお任せしたいと思います。シンジ役の私としては、これでよかったなあと。だってシンジはもう一度現実を歩いていけると思うから。一度でも極限状態を体験して乗り越えた人は、強い。私もそうでしたが、10代はいっぱい悩んでぶつかって痛みを越えていく時期。いま10代の方々にも、そうしてステキな“大人”になってほしいと思います。


14歳の証言・その2
◆鶴巻和哉

 僕が「エヴァ」で描きたかったのは、人間の普通の心理だったと思います。それは、愛の告白みたいなドラマチックな描写じゃなくて、人との会話で感じるちょっとしたすれ違いとか、言ってることと本心が違うとか、そういうもので、人が現実に暮らしていて感じる微妙な心理をアニメーションでやったら面白いなと思ったんです。

 だからシンジに関しても、まずロボットに乗せることに苦労しました。ただの少年がいきなりロボットに乗って戦えと言われても、乗れないのが普通ですよね。自分が今シンジと同じ状況だったら、やっぱり躊躇するし。アニメの“お約束”ではなく、自分が感情移入できるキャラクターを作りたかったんです。

 僕がシンジに共感したのは、父親とうまくコミュニケーションできないところです。誰でもそうだと思うけど、あのぐらいの年の男の子が、父親とちゃんとした会話なんてなかなかできないですよ(笑)。僕も中学3年間で父親と話したことっていったい何回あるんだろう。実は僕は、いまでも父親がだめなんですけどね(笑)。さすがにこの年になってまで、父親とまともに話をしないのは大人げないと思うから、たまに実家に帰ったら、いっしょに酒飲んだりして「どう? 最近」て、まるで苦手な上司とつきあうみたいにしてます(笑)。

 人間てなかなか変われるもんじゃないと思いますね。だからシンジも劇的に成長したかというと、そうではないと僕個人は思ってる。たとえば彼が父親と、最後にちゃんとした親子関係が結べたかというと、どうかなって。19話では、確かに彼は「エヴァに乗せてください」と父親に宣言しますけど、その後に父と子が会話する場面は出てこない。本当のところはわかんないわけです。

 でも僕はそれでいいと思ってます。別に成長しないのが悪いことではないと思うし。そういうところにこだわりたかったのかもしれない。

 人間ていうのは、何度も同じことを繰り返して、わずかながらに変化していくだけの存在で、その変化も「成長」かどうかわからない、そんなものだと思うんですよ。まして物語はシンジの14歳の一時期だけを抽出したもので……。だから彼の成長も、僕の理想としては、階段を何段も昇るというより全話を通してほんの一段分、見えないような段差をゆるやかに進んでいく感じだったらなと。でも1話と最終話ではやっぱり違う、そんな“ささいな”成長になっていたとしたらうれしいです。

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2008/05/24 12:30 (Sat)
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