10年ぶりに映画化された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の最新情報を追いかけるニュースサイト。
エヴァに関わったスタッフの作品、動向などもかいつまんで行ってます。
完結編「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は2021年3月8日公開予定。



シン・エヴァンゲリオン劇場版 ネタバレあり感想 (長文) 完結ありがとうございました。


まずはこの大作の完成と公開、おめでとうございます!そして本当にありがとうございました。新劇シリーズがこれで終わるんだと確信を持って自分は見に行きましたが、ここまで…こんなに隅々まで気を配って「エヴァ」を終わらせてくるとは思ってもいませんでした。

長尺ならではの確実なシンジの成長描写。長い上映時間が発表されたときにドラマが多くなればとは期待していましたが予想以上にシンジの心の揺れ方を丁寧に追っていて。特に驚いたのが、かつてのTV版で皆に「おめでとう」と言われていたシンジが、最後の電車で全てを捨ててユイに逢いたがっていたゲンドウ、身近な男性に甘えきれないアスカ、幸せになってほしいというエゴをぶつけていたカヲル、村でもっと生きていたかったレイ…達を、シンジの方から見送っていく立場にまでなっていたこと。旧作はもちろん直前のQまでの物語はシンジの一人称視点を徹底して描いてきたので、しがらみを持っていたキャラクター達を送り出すナビゲーターのような視点を持つ役目を彼が急に得たことに感動しました。
シンエヴァを見て最も…と言っていいほど個人的に熱い要素だったのがヴンダーは種の保存を目的に元来建造されていたという事実なのですが、ヒトと接する恐怖に負けずコミュニケーションを取るようになったシンジが、それぞれのキャラの生活へタンポポの種を飛ばすように願いだとか祈りを届けられたんだなと思えて、着地点としてこれ以上ない真っ直ぐなラストだと思います。

また、最後の戦いではシンジに会わない方が子供のためになると思っていたゲンドウ、息子にはこれしかできなかったと覚悟を決めて特攻するミサト、そして少年加持に会った彼と「同い年」のシンジ…本当の親子、擬似の家庭を作っていた三人の当事者が集結するラストになったのが良かったです。ミサトはもう一人の主人公、と貞本エヴァの1巻で言われていただけに最後の舞台にも来てくれて嬉しかった。作り物のセットでブンドドしてる親子喧嘩にスキマほど入って槍を届けられたのは、本作で今シリーズの本当のヒロインとなったマリ。マリといえば、ここまでクローズアップされながら(唯一と言っていいほど過去は謎のままですが)シンジと共にラストシーンを走っていけるキャラにまでなったのは突然に感じるかもしれないですが個人的には納得感があって、旧作から新劇への変化の中で大きな新要素となったキャラ…という話だけでは終わらず。というのも安野モヨコさんのイラストに押されるハンコに「庵野百世」と書かれていて、モモヨ=桃色=マリと8号機のイメージカラーなのかなと前々から勝手に思っていたので、この結末はすんなり受け入れられたのでした。笑 作品を語るうえで庵野さんの人生を重ねるのはズルいと我ながら思うんですけど、エヴァシリーズ…特にシンエヴァは庵野さんの色が濃すぎて重ねて語るところが出るのも許して欲しいです。映画を見ていて人生史のようだなと感じるところすらありました。
とは言っても劇中においては突然な展開なのは変わらないかもしれませんが、戦いが終わった砂浜でもまだ外せなかったDSSチョーカーが、山口宇部の駅のホームで彼女と出会って初めて外せる、エヴァの呪いから開放してくれるような運命的な存在だったということで、それが全てだと思います。ちなみに貞本エヴァ最終巻に載っている番外編は、貞本さんの解釈込みということでアニメと同じ世界線とまでは当然判断できませんが、個人的にはシンエヴァの副読本としてはほぼ公式と解釈してもいいように思えるので、未読の方にはこの1編だけのために読む価値はあると思います。シンの中でマリが古今東西の本を読むのが密かな(叶わぬ?)夢だったというのと、ゲンドウが子供の頃から知識を得るのが好きで本を読み漁っていた、というのは語る場面は違いますが二人に関係を作っている気はします。

ゲンドウといえば、Qで綾波が拾ったシンジのSDATを最終的にゲンドウに渡せたのも良かったです。以前のエントリーでも書いた通りQではアスカが手を引っ張ることでSDATを落とし、(意識的ではないにしろ)結果的に父の呪縛から引き離すことになっている、ように見えるのが演出的にとても面白いラストだと感じたのですが、本作ではあらためてカヲルの死を思い起こさせるSDATと向かいあい、ゲンドウの手に渡ることで彼自身の記憶を想起し独白し始めるという、モノから記憶を引き出すきっかけになってましたね。この瞬間にシンエヴァラストパートの物語がシンジからゲンドウにバトンタッチされた感触がありました。
シンジVSゲンドウの色々とはっちゃけたバトルシーンは我が目を疑ったものの、ゲンドウがおかしくも切ないおじさんであることが強調されてるという意味では逆シャアのシャアっぽいのかも、と少し感じました。ここぞという場面で父さん!とシンジに話しかけられても背中を向けたままスーッと飛んで逃げてしまうゲンドウ、子供にしか乗れないエヴァに乗って息子と張り合うゲンドウ、カヲル君と同じポーズで13号機を膝立ちさせてるゲンドウ、世界とヴィレに暴虐の限りを尽くしてメチャクチャにしておきながら息子と対峙したら「暴力で決めることではない」と言い出すゲンドウ、EOEの名シーンごっこをし始めるゲンドウ…など真剣な場面で笑っていいのか絶妙なシーンばかり続いたけど笑、ユイを探し求める回想では「ユイ、ユイ!ここに居るのは全てレイか!」と嘆く悲しいセリフが、ゲンドウにもレイにも悲しい言葉で刺さりました。零(0)がいくら積まれても唯(1)にならないのは辛すぎる。とはいえ成長したシンジが手を引いてくれたことで、旧劇では怒れる初号機に「すまなかったな、シンジ」と一方的に言うことしかできなかったゲンドウが同じセリフで幼いシンジの体を抱くことができ、ようやく父としての自分を見つけると同時にユイの存在にも気付けたというラストが思った以上にストレートな描き方をされていて本当に良かったです。

各キャラの着地のさせ方もよくて、年齢的には大人になったアスカが今でも人形遊びをしてしまうほど孤独を抱えていて、その一人遊びの代わりを他者のケンスケが着ぐるみで受け持ってくれるというエヴァらしからぬ表現があり、気持ちがエラくあったまりました。アスカはもうただのリリンじゃないけど、人と同じように髪が伸びてるんだしリリンとして生きたっていい。自分はTVシリーズの頃からケンスケのことは唯一の大人じゃんと思うほど好きなキャラだったので、こうしてアスカと生活をしていくことに何の不満もないです。「みんなが好きないつまでも可愛いままのアスカ」の役目を終えられて本当におつかれさまという気持ちになりました(こういう感想を普通に持てるあたり、なんてメタ的な作品なんだと思います)。 このアスカの結末が一番「エヴァの終わり」を感じさせたなあ。また、過去の旧劇で首を絞められた舞台の砂浜で、シンジが今度は「好きだった」と伝えられたのも長かった呪いからの解放、救いとして大きかったです。
カヲルに関しても、好き勝手にシンジを振り回した挙げ句あっという間に消えてしまったTV版と違い、Qでは最初からシンジ君を絶対に守る!今度こそ幸せにしてみせる!という目的で行動していたのは、それはそれでエゴで良くないのでは…と思っていたのでシンの劇中でまさにそのような指摘をハッキリと加持から告げられたのはビックリしました。前作はタイトルがQというだけあってシンはそのアンサー、2作で対となるポイントが多かったのも面白かったですね。(Qでミサトがシンジを冷たく遠ざけていたのは彼をエヴァに乗せてつらい思いをさせない為だと今回分かったのも同じく解答で、個人的には勿論そうよ!と思っていたのでホッとしましたが、ネットだとガチめにQのミサトさんを責める声が多いので怖かった)
カヲル君はシンジをなんとかしないと、でも何度やっても出来ない…という終わらない連鎖の責務からやっと逃れられ、幼いシンジから話しかけられホロッと涙を流すシーンはシンエヴァの中で一番グッと来ました。良かったなあカヲル君…。そして最後にいきなり渚司令とリョーちゃんの新たな描写がブッ込まれるわけですが笑、これについての関連性は本当に今のところ考えても分からないんですよね…!お互いゼーレには因縁のある立場だけど直接上下関係のある所属ではない。破ラストの予告で司令服を着たカヲルのカットがあるので、映像で語ってない部分で何かしらの構想があったのを断片的にここへ持ってきたのだろうけど、現状で理解するには流石に情報が少なくて。演出的にこの二人を選んで出したのは…世界(大切な人)を守るため自己犠牲で死んでいった二人、ということで選ばれてるのかな?「老後は葛城と一緒に畑仕事でもどうです」というセリフがあったので、明らかに死後…天国的な描写がエヴァでされるのは意外でした。それにしてもカヲルに老後か~!ヒトとして見てくれてるんだな、と思えるので凄く良いセリフですよね。というか加持さんの出番が終盤になってめちゃくちゃ多いうえに常においしいとこ持ってくので嬉しかった。

話題がぽんぽこ飛んで申し訳ないですが、シンエヴァが数多くのBANKカット(過去に使った画)を用いて形成されていたことには驚きでした。MAD映像的になるシンジVSゲンドウでBANKが多用されたのは勿論のこと、全体を通じて細かいところでもちょこちょこ入れて来るんですよね。途中で何かこれは意図がありそうだなと感じ始めて、シンで最新のストーリー・映像を見せながら過去のカットを入れ込むことで、現在と過去の同時進行オーバーラップ、フラッシュバックを積み重ねながら、ファンの全記憶をもって大団円へとテンションを導こうとしたのかな?と感じました。編集のマジックというか、そういった演出の仕方はちょっと音楽的だなとすら思います。
作品の韻の踏み方も面白くて、シンジが序盤で動けず、ミサトがかばってお腹を撃たれて、時間は前後しますがリツコはゲンドウを撃つ側になり、巨大綾波が現れ、制作素材が出たり実写になったり…と旧劇場版をここまでなぞるかという徹底っぷりもありながら、過去作を踏襲するところと少し変えるところ、変えた部分についてはなぜそうしたのか…など考えるときちんと意味を持ったところが多く、エヴァをリメイクするとは、あらためて今わざわざやり直すとはこういうことだと大型のスクリーンから言われてるようでした。今回は使徒との戦闘がないので、わけのわからない情報の連続で振り回されるエヴァならではの快感は少なく初回ではそこがもっと見たいような気持ちはありましたが、二度目では最初から俯瞰で見られたのでキャラ一人一人を丁寧に救済していくこの誠実な「落とし前」の付け方は、本当に感服してしまいます。

これだけ沢山書いていても、当然わからない部分も沢山あって。アディショナルインパクトにおける槍の役割がわからないのは諦めが付くんですけど笑、巨大レイのCGと黒いリリスの存在(シンジにそう見えた)の演出的な意図が自分の中でまだ定まらないままです。
巨大レイはフェイスがリアルなCGで髪の毛は2DルックのCG…という作りに敢えてしているのがポイントだと思っていて、ゲンドウが目指していたリアリティーとイマジナリーの融合は生理的に気味の悪いものだよ、というのをまがいもののようなビジュアルで表現している…ということでいいのかな?ミドリが「こんなの変だよ!」というようなことを叫んでいたのもあったので。そして黒いリリス、黒くしている理由に関しては全くわからないです、白いものがシンジからは黒く見えた…黒…何かあったかなあ?何かのメタが込められてるとは思うんだけどまだ理解が付いていかないです。

2時間35分もある映画なので嬉しいこと悲しいことが詰まった内容で、やはりどうしても忘れられないのは綾波(仮称)の消失。自分はQをラストまで見たとき、この右も左も分からないような綾波が、今度こそどうにか幸せにはならないだろうか?と旧作では全く持たなかった感情を胸にして今回のシンエヴァへ臨んだのですが、結果は…。序盤の村パートは見ていてあまりに幸せなので、夕暮れの土手で子供たちと歩いている姿や梅干しを机の下からそっと覗いている綾波を見たあたりで流石にこれはおかしい…これから村が滅びるのか…と心配しながら見ていたら、破壊されたのは村じゃなかったですね…。
どうして綾波が死ななければならなかったのか?ネルフの生命維持がなければ生きられない、という物理的な理由は分かるのだけど物語上、演出上で彼女が死ななくてはいけない理由は?思い当たるのは、綾波が「ここにいたい」と思うほど身体に支障をきたし、シンジを好きだと、ツバメともっと一緒にいたかったと願う「自我」が出ることは綾波レイというアイデンティティーを失わせ、人形でなくなった彼女は消えるしかない…ということなのかなあと今のところ思うのですが、それにしたってひどすぎないですか…! 生きていて欲しかったなあ。最後に大量のコモディティ化した白人間が落下するシーンで、猫を抱いた女性が大写しになったのが少しでも救いではありますが…綾波…。子連れの猫が線路で歩いてるのを見て微笑んだ綾波が、後々つばめと書かれた人形を抱いてるのが切なすぎます。宇多田ヒカルのテーマソングで繰り返される「忘れられない、忘れられない…」のリフレインが今の心情にハマってしまい、涙出ますね。
切ない大きな描写といえばもう一つ、まさかの大津波がありました。破の頃でも落下使徒撃破で津波は一度やっていますが、震災以前の破と以後の本作ではやる意味合いが全く違う、明確な意図をもって描かれています。シンゴジラだけでなく、アニメーションでもこの記憶を刻んで残していく強い意思を感じました。公開当日の朝、エヴァを好きだったけど亡くなってしまった知り合いの方のことをちょうど思い出したりしていたところでした。

喪失、がどうしても記憶に残りやすいのでシンエヴァに関しては今でも綾波のことを真っ先に思い出してしまいますが、新劇シリーズ13年半の締めくくり、だけでなく四半世紀の歴史ある作品の完結編として本当に素晴らしい内容だと思います。「いい作品」で終われて本当に良かった。メインキャストの皆さんが一人も欠けることなく完結を迎えられたのも奇跡です。庵野さんをはじめに新劇場版シリーズに関わられたスタッフの皆さま、本当におつかれさまでした。約14年間このサイトを続けてきて良かったです。皆さまがこれから生み出す作品にも期待しております。ありがとうございました。

ここまで読んでくださった皆さまにも感謝しております、ありがとうございました。また公開日当日にはシンエヴァの感想配信を3時間ほどしておりますので、これから映画を見る方にもお好きなタイミングで楽しんでいただければ幸いです。
☆ツイキャス:シンエヴァ感想配信


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2021/03/10 00:43 (Wed)
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