10年ぶりに映画化された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の最新情報を追いかけるニュースサイト。
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完結編「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の公開日は2017年以降を予定。





ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 ネタバレ感想

序の時は旧作との変更点を記憶の限り指摘したり単なる間違い探しのようになってしまったのですが、実質「完全新作」だった今回の「破」。迫力のフィルムに圧倒されつつも複雑な思いをそのままぶつけようかと。長くなりますよ。

序の時の感想というか、旧作との相違点は←のリンクからどうぞ。


初日に2度続けて見ましたが、破には「やられた!」という点が沢山ありました。それはいい意味でも悪い意味でも。そしてその全てが、庵野さんに踊らされてるんだろうなと思います。

話すべきところは沢山あるけど、まず面白かったかどうかっていうのをドン、と言わせてもらうと、正直、面白いけどそりゃないよ!という感じ。まあ何故かっていうのは、アスカが初号機にエントリープラグを噛み砕かれて退場して、被検体サンプルとして隔離され、そのまま最後まで出番がなかったのが、もう辛くて辛くてしょうがなかったんです。クライマックスでシンジとレイは、まさに主人公然として盛り上がってるのに、アスカは蚊帳の外な扱いなのが「そりゃないよ」だった。あのクライマックスシーンで、アスカが目をパチッとゆっくり開けるシーンが1カットだけでもあれば私は安心しました。でも、それさえなかった。これはファンとしたらキツいです。
まあ、「上げたら落とす」、「落として上げる」が庵野さんの演出の基本なんで、そういう意味で今回は完全に庵野さんに踊らされたわけです。次回の登場では「落ちた後に上がってくる」ことに希望を持って!さらなる新劇場版を楽しみにしてます。

あとクライマックスシーンでもう1つのめりこめなかった理由は、2号機が裏コード・ザ・ビーストを使用することで大胆な変化をするわけですが、人造人間であるエヴァがあそこまで変質してしまう事で、自分の中で大事なラインを踏み越えてしまったような気がして…勿論サプライズには成功したんですけど、ビーストモードの余りの変化に「今はアニメを見てるんだな」という現実感が急に出てしまって、ちょっとフィルムと自分の間に距離が出来ちゃったのが残念でしたね。2号機に一番固執しているはずのアスカが知らない事を、マリがやってるという事にも抵抗があったんだと思います。

じゃあ、次はキャラクターの話に迫ります。

今回マリについて庵野さんを含むスタジオカラーが凄くうまいと思ったのは、マリのパーソナルな部分について本編では殆ど語られなかった事です。と言うのも、マリは序の予告で初登場して以来、常に謎のキャラクターとしてただ「存在」してきました。仮設5号機パイロットであるという事も公式にアナウンスがあったことは一度もないし、そこでマリについて「この子は一体誰なんだろう?どのエヴァに乗るんだろう?そもそもパイロットなんだろうか?」「他のキャラとの関係は?」「もしかしてドイツでアスカとシンクロ率で競っていた、継母の娘?」「もしくは、髪の色が同じ赤木ナオコとゲンドウの隠し子?(序の予告コンテには「ゲンドウと同じメガネを上げる仕草」という事が書いてある)」などなど、この破の上映までファンは勝手にマリについて想像を膨らませてきたわけです。
でも今回のストーリーで描かれたのはあくまでエヴァメインキャラのドラマであって、マリは1パイロットでしかなかった。あくまで謎の存在。その「スカシ」が絶妙だったと思います。
マリについて語られなかった事も、「破」を振り返ってみればそういえばそうだったねという程度で、ファンはメインのストーリーで充分満足してるわけです。でも新キャラクターの登場という事で話題性はバツグンだった。これは完全にやられましたね。

マリにどんな事を思ったか?といえば、最初の登場シーンの「365歩のマーチ」を歌っているところから、もういいパンチをもらっちゃった気がした。あれだけでマリがどんなキャラかわかる登場の仕方だったし、アバンタイトルから使徒戦という事で映画としての掴みもバッチリ。戦いは場面が暗くて何が起きてるのか分かりづらかったのだけは勿体ないかな。
胸のサイズがおっきいのは…ズルいですよねあんなの。高校生なのかな?年上だからということにしておきます。(パンフを読んでも年齢はわからなかったんですよねー。)


次に触れたいのはレイのこと。
今回の「破」で色々大きなうねりがありましたが、一番変わったのはレイだと私は思います。「ぽかぽかする…」のくだりは勿論だけど、お弁当を作るために料理で手に切り傷を作って、シンジに聞かれても「秘密、うまくなったら話す」なんて可愛らしい。女の子らしい面が出てます。お弁当を作るのも、お食事会を計画するのも、一歩前に進もうとしてるのが凄く良かった。
第10使徒戦で自爆する前の「碇君がもう、エヴァに乗れなくていいようにする!」というセリフ。シンジがエヴァに乗りたがらないのをよく見てきた綾波だからこそ言える、これはもうホロッときます。
エヴァに乗らなくていい可能性、についてもう1つエピソードがあるので、次の話に移ります。

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エレベーターでレイとアスカが居合わせた時、TV版では「エヴァは心を開かなければ動かないわ」と言うんですが、今回のレイは「あなたにはエヴァに乗らない幸せがある」と薦めてるんですよね。エヴァに乗って活躍する事だけが唯一のアイデンティティーだったアスカにとっては、これはもう価値観をひっくり返す大きなセリフで、勿論人生を否定されたと同然のアスカは直後に対立するんですが、このエレベーターのやり取りの後ではアスカは「バカシンジについてどう思ってるのか」をレイに聞きます。結局アスカも一人の女の子でしかない。それってつまり、レイが言うとおり「エヴァに乗らなくてもいい」普通の生き方なんじゃないか?と思うわけです。もっとラクして生きていいんだよアスカ、そんな大人からのメッセージに聞こえましたね。

話の流れがアスカになったので、今度はアスカについて語ります。
今回まあ、「死亡フラグ」と呼ばれるだろうアスカの可愛い面が、ほんととことん可愛いんですよ。エプロンをつけて苦手な料理をしたり、初対面のシンジの前にズイッと仁王立ちしたり。3号機用の半透明なテストプラグスーツに着替える時の、カメラ(鏡)に向かってアクションをとったり髪の毛をすいたり、もう仕草一つ一つがあのシーンは良かったですね。まあ最後の出番だからこそなんですけど…。
格闘シーンもアスカならではで、落下してくる第6使徒との戦闘では、両手のナイフを刺してそれをさらに膝で押し込むという身体性、盛り上がりとして素晴らしかったです。
次回「Q」では、ほんと活躍をお願いしますよ庵野さん!「これ以上アスカをイジメないで」っていう投書が沢山カラーに届くんじゃないかなあ、今回の展開は。みやむーに何か私怨でもあるのかって勘繰っちゃう位の展開でしたから(笑)、まあそんなのはないでしょうけど。

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じゃあ最後の少年、シンジについて…語る前に、おいしいところを持っていったカヲル君について少し。
予告を見た時からカヲル君は最後にちょっと出てきて終わりだろうなと思っていたので出番が少なかった事に特に不満はないんですが、「はじめまして、お父さん」だなんてセリフをさりげなく残すあたり、スタッフは流石の仕事っぷりですよね。え、お父さんってどういう…シンジと結婚的な? まあそんな事は絶対ないんでしょうけど(シンジのお父さんという意味だろう)、そういうお遊びを入れてくるところはホント徹底してますよね。

ではシンジについて。
破のシンジといえばやっぱりクライマックスシーン。活動限界を迎えた初号機が第10使徒(TVでのゼルエル)に蹂躙されるシークエンスでは、TV版では「ユイ」の覚醒というニュアンスだったと思いますが、今回はシンジ君が自分の意思で、覚醒して。綾波は、綾波だけは助ける!と強い意志を見せました。それを象徴するセリフが、綾波への「来い!」ですよね。あそこはシーンとしてちょっとウテナの最終回っぽかったですけど。

ここで1つ、重要なポイントがあると自分では思ってて。シンジが助けようとしても綾波は「代わりがいるもの」と拒むんですよね。ココで言う「代わり」とは旧作通りであれば3人目、4人目の何人もいるレイの事を指してますが、シンジは「綾波は綾波しかいない!」と言うわけで。ここで、EOEのある1カットを引き合いに出します。

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綾波は使徒と同じく1つの魂をリレーして生きていると思われますが、この3人のレイが居るカットは、魂が例え1つでも、体を渡り歩いた事でそれぞれの「レイ」に、別の魂(それは「個」)が生まれた証なんじゃないのか? そんなドラマを感じさせる大きな1カットだったと思います。
そこで破のシンジの「綾波は綾波しかいない」というセリフに繋がってくるわけで、レイが例え2人目だろうと3人目だろうと、今のレイは今しかいないんですよね。そういう価値観・捉えかたを象徴的にしたセリフだと思います。

シンジの話のつもりがレイに引っ張られてしまったのでまたシンジの話に戻すと、EOEと言えば砂場で「おしろ」を作っては足蹴にして壊す、というシーンがありましたが、今回のネルフ倒壊ではまさに初号機で同じ事をやってましたね。
今回新たな設定となったのはシンジがいつも手放さなかったSDAT。ウォークマンみたいなやつです。あれはゲンドウが置いていったもので、それをシンジが先生の所から持ってきたというような事を言ってました。まさかそんなところまでお父さんが好きだなんて、いじらしいというか…可愛い。

SDATについては大きな意味があって、濃いファンなら知っているとは思いますがシンジはいつも「25・26」トラックをリピートして聴いています。これは言うまでもなくTV版・そして旧劇場版の#25・#26にあたるもので、その話数で語られた「シンジ達を構成する世界」を、延々と聞いてる(ループしてる)わけですね。
で、今回私は劇場で確認できなかったのですが、マリがパラシュートで落ちてきたシーンで、SDATのトラックが「27」になったという情報がありました。これがもし本当ならとんでもない事で、明らかに「マリがシンジに介入した事で、世界が次のステップに進んだ」という象徴を決定付ける演出になりますよね。ちょっと確認する為に、もう1度劇場に行きたいと思います。皆さんもまた行く機会があれば、確認してみてください。

キャラクターについては殆ど語ってしまったので、後は新劇場版そのものについて気になった事を、ちょろちょろっと拾っていこうかな。

今回林原さんの「うた」が劇中でかかりますよね。「今日の日はさようなら」と、「翼をください」。1つ目はともかくとして、2つ目は矢継ぎ早に「歌もの」がBGMとして来てしまったので「また?」と思ったのが正直なところ。でも庵野さんらしいと言えば庵野さんらしいです。

個人的にかなりビックリしたのは、カレカノ(彼氏彼女の事情)の曲を何曲か使用していること。作曲は勿論鷺巣さんですが、他の作品の曲でも良いものであれば取り込んでしまおうという柔軟さは、凄くいいと思いました。「帰ってきたウルトラマン」の効果音も、最初のロゴのところで使ってたみたいですね。
違う作品で同じ曲を使いまわすというのは前例がないわけではありません。作曲家の斉藤恒芳さんは「電脳コイル」と「蒼穹のファフナー」で同じメロディを使用してますし、すぎやまこういちさんもドラクエ6のEDテーマ「時の子守唄」は「劇場版ガッチャマン」から使用しています。


少し気になったのは、冬月を演じられている清川さんのセリフ。今回ちょっと演技にブレがないか?と感じたんですが(下手という意味ではなくて)、調べてみたらもう74歳なんですね。そりゃあ1stガンダムでアムロの父親を演じられていたくらいですから、大ベテランなのも頷けますが…正直言って、もしもの事があったらと思うと恐いので、庵野さん新劇場版を早く完結させてください。

グッズではEVA-EXTRA04を一応買ったんですけどー、正直言って不満でした。フリーペーパーを集めたものが1300円、というのは別にいいんです。気になったのは、1~3にあったコンテンツは勿論4にも付いてくるだろうと思ったので、「04」用の描き下ろしのピンナップ・及びコンテが絶対あると思ったんです、というかあるべきなんです。そうしたら両方とも無かったので、あれ…という肩透かしに。そこは残念でしたねー。

そういえば次回予告について。これについて触れなければいけないんでした。
新劇場版はあと2作(急+?)あるはずなんですが、予告で出たタイトルは「Q(uickening)」でしたよね。あれは単純に2作あるうちの1本目という事なのか、それとも「急」と「Question」を合わせて「Q」、残り1本しかやらないのか。新劇場版が見られる回数が残り1作なのか2作なのか、たった1本ですが全然違いますよね。個人的には沢山見たいなあ!


ものすごーーく長くなってしまいましたが、この辺で感想を〆たいと思います。何点か「モヤモヤした点」はあるものの、めっちゃくちゃ面白かったし、何より「新エヴァ」が見られた事が最高に嬉しかった。次の劇場版まで4年までは待てますから、素晴らしいクオリティのものをお願いします!

もう今にでもDVD・Blu-rayが手元に欲しいくらい発売が待ち遠しいですが、まずはサントラですよね。劇場へ行ってあと2回くらいは見たいと思います。

あと、なんとなくですが、2015年。エヴァを記念すべき年に、新テレビシリーズが始まる気がします。何もやらないって事はないよなー。

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2009/06/28 23:12 (Sun)
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